大学のあり方:ビジネス系大学教育における質保証(4)

前回の記事「大学のあり方:ビジネス系大学教育における質保証(3)」の続きです。
ここしばらくは、学生の学習能力の低下について考えています。
書籍「ビジネス系大学教育における質保証」では、学習能力の低下について、4つの意味を含んでいるとしています。

  • 基礎学力の不足
  • 学習の方法や態度の未熟度
  • 学習意欲の低下
  • 体験や社会的コミットメントの不足

今回は、この中の「学習意欲の低下」について考えてみましょう。
学習意欲の低下
将来の目的が明確でなく、”大学にとりあえず入学”する人々の増加。学習上の興味や関心の欠如や未発達など。
これは他人事ではありません。実は私自身も「大学にとりあえず入学する人々」だったからです。少なくとも学科を選択する際の私の考えはあまりにも幼稚でした。幼稚どころか「何も考えていない」と言った方がふさわしい気もします。
私は工学部の機械工学科に入学しました。しかし、私は機械そのものに漠然とした興味しか抱いていませんでした。むしろ同じ工学分野でも電子工学、電気工学や通信工学の方が自分の関心に近い学科だったように思います(当時、情報工学科はありませんでした)。今思うと、なぜ機械工学科を選んだのかわかりません。本当に雰囲気や偏差値だけで選んだような気もします。
もちろん大学には真面目に通いましたし、留年するようなこともありませんでした。どちらかというと一生懸命勉強したと思います。ただ、漠然とした興味だけで機械工学を学び続けるには、多大なエネルギーが必要でした。
結果的に機械工学との関わりを続けることができずに、就職先は機械とは全く関係の無い分野の企業となりました。(そこも数年で退職してしまうのですが)
あの時、もし自分が電子工学科や電気工学科に入学していたら、もっと自分は成長できたのではないかと思うときもあります。隣の芝生は常に青いものですが、少なくとも自分にとって好きか否かというファクターを軽視した事実は、その後の私の行動規範に大きく影響を与えています。
前回の記事「大学のあり方:ビジネス系大学教育における質保証(3)」では、

一方、大学では専門分野の学習がそのまま社会活動の基礎となるケースは案外少なく、もっぱら学生個人の興味関心、適性に応じた分野を選択しているというのが現状でしょう。(この「興味関心、適性に応じた」というあたりは今後も取り上げていくテーマです)

と書きましたが、大学での専門教育と卒業後の社会活動との間に関連が薄いのであれば、なおのこと「興味関心、適正に応じた」分野の学習に踏み込むべきなのです。

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